2018
03.12

NHK 「ラジオ英会話」学習方法ガイダンス

ラジオ英会話, 未分類

4月からお送りする「ラジオ英会話」学習ガイダンスです。講座の特徴を知り、効率的な学習にお役立てください。

新しくなった「ラジオ英会話」の目標

今年の「ラジオ英会話」は英文法全般の解説と、文法事項の会話への運用を目標としています。英語学習のもっとも重要なパートは文法です。文法さえマスターしてしまえば、英語学習は表現の数を増やすだけの楽しい作業となります。

とはいえ、英文法は以前より「むずかしく」「会話に役に立たない」という印象を与えてきました。理由が定かでないまま細かな文法事項を丸暗記し「こうすればOK・そうでなければまちがい」と言われ続ければ「むずかしい」という印象は避けられませんし、ネイティブならどんな教養レベルであれ英語を話せることを考え合わせて「文法を回避しても英語を話すことができるのではないか=文法は会話の役に立たないのではないか」と思う人が数多くいても不思議ではないでしょう。そうして文法学習を避ける—それがいつまで経っても満足のいく英語力が得られないに直接つながっているのです。基礎を理解しないまま、「英語をたくさん聴いてみる」「英会話を練習してみる」では効率的な学習はできません。学校教育で「オーラル」が偏重された結果学生の英語力が大きく落ちたことはすでに多くが知るところでしょう。

実は、「文法はむずかしい」「会話に役に立たない」は、残念ながら厳密には正しくありません。むずかしく・役に立たないのは「既存の文法」であり、「文法」それ自体ではないのです。「一億人の英文法(東進ブックス)」「総合英語ENGLISH FACTBOOK」で私は、文法は非常に単純なシステムとして理解することができ、多くの文法事項には動機・理由があり有機的につながっているため「理由が定かでないまま細かな文法事項暗記」は必要がないことを証明しました。この2つの文法書は他の文法書のように「よりみやすくなりました」「より詳しくなりました」「ネイティブスピーカーの視点を取り上げてみました」といった内容ではありません。本質的なアプローチの転換を行い、文法を合理的に・効率的に捉え、そのまま英語4技能、特に会話・英作文に資する内容としています。ただ、文法書は所詮文法「書」でしかありません。本からは音も出てきませんし、ネイティブの息遣いも聞こえてきません。プロのライターとして、紙には—特に英語学習書としての紙には—大きな制約があることは認めざるをえませんでした。その制約を越えるために本にはイラストを多数配置する、Websiteで解説音声を流すなど工夫してきましたが、それでも十分満足できるものではありませんでした。

「ラジオ英会話」はそうした数々の制約を離れることができた初めての試みです。

今回の「ラジオ英会話」は文法の復権です。文法のもつ「力」の確認・補強・アプローチ転換を通じて、英語力を必要とするすべての日本人に、日常会話をこなせるレベルのシリアスな会話力をつけていただきます。詳細なカリキュラムはすでに組まれており、毎回必ず学ぶことがあります。そしてあらゆる文法事項には実戦につながる練習が行われます。初心者なら最初はたいへんでしょうね。ですが1年間の練習で英語力が確実なものになることを考えれば、コストパーフォーマンスは他のあらゆる英語教育サービスよりも高い。私はそう考えています。

ラジオ英会話テキストの使用法

「ラジオ英会話」から最大限の英語力を引き出そうとするとき、テキストはほぼマストです。キーセンテンスや文法説明だけでも十分な学習効果が上がるはずですが、英会話が「どれだけ文を頭の中にストックするか」に比例して伸びることを考えれば、手元に取り上げたあらゆる例文があり、いつでも音読暗唱できる体制を整えた方が遥かによいと私は思います。以下の学習法ガイダンスは、テキストが手元にあることを前提にお話します。

DIALOGUE

冒頭ダイアログは、標準的な言い回しを使った平易な文です。英文解釈やリスニングと異なり、英会話を達成するためには対象文の難易度を上げる必要はありません。むしろ平易と思われる文を「すべて」「確実に」「考えず」口から出すことができる能力を育てるこそが大切です。「最新の言い回し」は十分会話ができるようになれば「なにそれ?」「ふーん。おもしろいね」でいくらでも増えていきます。文法の基礎が出来上がり語彙・表現が主戦場になった後、レベルを多少上げる予定です。
テキストをお持ちの方の強みは、ダイアローグの文の1つ1つについて「自分でこの文が言えるか」の吟味を行えるところにあります。考えなければ言えない文がもしあれば、必ずすべて音読暗唱してください。会話の基本は、考えずに使える文をいくつ知っているかに依存します。

FOR DEEPER UNDERSTANDING

冒頭ダイアログの中で特に注意を要する文に関してコメントしています。多くの場合「当該文はどのような意識で作られているのか」や「定型文である」ことを示しています。特に注意して必ず音読・暗唱してください。「意識」ということばがしばしばでてきますが、「口から出る」ことと英語力は無関係であることがあるからです。√169も11+2も同じ「13」ですがその成り立ちは異なります。表面上言えてもつくり方がまるで異なっていては、その上の段階に進んだときにつまづいてしまいます。

REAL GRAMMAR FOR COMMUNICATION

ダイアローグのキーセンテンス他について、もっともコンパクトな形で文法事項のポイントを解説します。細則よりも形に通う「意識」に焦点を合わせ、適宜クリスやローザさんなどに直観的な印象などを尋ね、みなさんの実践での文作りをサポートします。

 

 

 

GRAMMAR IN ACTION


ここがレッスンの1つのハイライトとなります。「英会話ができない」は、そもそも「英語を口から出さざるを得ない状況に追い詰められていない」に端を発していることも多いのです。やったことがないからできない。当然のことです。口から出す訓練は放送を漫然と聴いているだけではできません。そこで、とにかく口から英語を出してみるコーナーを設けました。
毎回の文法事項に関連した日常的な文をおおよそ3つ、ヒントの後に作ってもらいます。最初はたいへんです。ほとんどの方は考えている間に正解が流れてしまうはずです。でもいいんですよ。「話さなきゃ」とまず身構える。頭の中の英語をスキャンしてみる。それこそが大切な訓練なのです。何も思い浮かばなくてもEr… you know…I mean…だけでも必ず音を出してください。徐々に英語を口から出すこと、それ自体に慣れてきます。文を工夫する余裕が生まれるのも遠い将来ではありません。何しろこの番組は年200回以上あります。焦らなくても大丈夫です。そのうち、英語を口から出すことが楽しくなってくるはずですよ。

PRACTICAL CHALLENGE

さて一週間のまとめ、毎週金曜日はその週で学んだ文法事項を使いながらまとまった英文を口にする練習を行います。ここも最初はハードルが高いはずですが、回数を重ねて行くうちに、だんだんと英語を話そうという心構えができると同時に、英語を口にすること自体に慣れてくるはずです。一足飛びに格好のいい文はできなくてもだいじょうぶ。口から英語を出す習慣さえ身につけば、あとは学んだ文法を使って少しずつ洗練を重ねていけば、英語を話す力はリニアに伸びていくはずです。使える単語と文法、使える形と文の数が増えていくのですから当然のことです。この形式は今後予想されるスピーキングの試験にも慣れることができるため、しっかりとやってみてくださいね。

 

さてこうした学習を続ければ、みなさんは1週間のうち英会話を改善するための文法事項を4つ、その類例およそ20。ダイアローグの暗唱を含めればそれをはるかに超える数の完全に自然な英文を、詳しい解説と共に頭に入れることになります。1ヶ月で80。一年で1000です。それだけしっかり頭に入って入れば、時に詰まることはあっても必ず英会話はできます。後は経験を積むだけですよ。
英語にアプローチする方法はさまざまです。ですがどんな技芸でも、基本をスキップして上達することはできません。この一年は僕と歯を食いしばってがんばる。その後は、自由で楽しい英語学習が待っているはずです。

番組中のクリスさん・ローザさんの英語での発言について

 番組はしばしば、私からの質問をクリスさん・ローザさんが答えるという場面があります。英語に関しては注意深くスピードを落としながら滑舌良くを心がけていますが、学習が進んでいない段階では、言っていることがよくわからないということがあるかもしれません。
 
 しっかりと耳を澄ます。それでもわからなければ気にしない。

 それが大切です。彼らの発言の重要部分は私が日本語で解説しているため、番組の学習効果はいささかも減じません。またこの現象は、彼らの音自体に慣れ、文法力がつくに従って、おそらく数ヶ月でずいぶんと軽減されるはずです。「今の単語は何と言ったのか」にこだわるのはナンセンスです。全体としてどの程度わかるようになったのか、その伸びに着目してください。ラジオ講座を聴く大きな楽しみの一つになるはずです。

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