2020
02.17

2020ラジオ英会話:自然な会話・きっかけをつかむための総合英語学習誌へ

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 みなさんこんにちは。大西泰斗です。2020年度ラジオ英会話を引き続き担当させていただくことになりました。たいへん多くのリスナー方々と厖大な数に上るテキスト購読者の方々に恵まれ、昨年度はいくつか賞もいただきました。番組・テキストをご利用のみなさん、本当にありがとうございます。

2020目標:自然な英会話へ

 番組は2018年度は「文法」、2019年度は「イメージ・定型表現の勧め」を中心に展開してきました。「会話番組で文法なんて」といった批判も頂戴しましたが、多くの方にすでにご賛同いただいているように、基本的な文法や単語のイメージを知らず会話文を学習しても、多くは期待できません。実践の会話文を頭に入れること、文法で文の成り立ちを納得すること、ああこんな風にこの単語を使うのだ、はすべて同時に・併行して行ってこそ最短の英語学習が拓けると私は考えています。文法は大切・単語力は大切、そしてすべてを統合して—わかった上で—文を覚えることが大切なのです。

 2020年度もアナリティック(分析的な)学習と、シンセティック(統合的な)学習のバランスを取りながら講座を進めていきます。年度目標は、「単文・短文に終わらない会話能力」です

 私たちの日本語会話は決して短い文の応酬ではありません。2-3才児であっても「たっちゃんがぶってきて、とってもいたかった。だから、ママにおこってほしい」位は言うはずです。ここには「ぶってきたからいたかった」という理由・原因の展開と「だから、ママに…」という結論・結果の展開が行われています。大人なら当然、さらに複雑に・繊細に会話は流れ・展開していくでしょう。「同じことを英語でできるようになる」—それが今年度の主眼です。

 年度最初は基本的な接続詞の使い方から。そして代表的な会話の展開、さらに精密で頻度の高い接続表現・論理マーカーに向けて解説は進みます。年度後半では、接続表現を越えた発言の組み立てなどに話を進める予定です。

 今期の学習は、日常会話やプレゼンテーションなど、ある一定以上の長さが求められるすべての場面に大きな効果があるでしょう。さらに「自然な英会話」に向けて大きく一歩踏み出していただければと思います。ご期待ください。

2020テキスト:「きっかけ」をつかむための総合英語学習誌へ

 「ラジオ英会話」では、もっとも効率的な英文法・表現のイメージ・頻用される定型表現・接続表現など、英会話学習の中心となる重要な学習項目について詳しく学んでいますが、英語力が飛躍的に伸びる「きっかけ」はそればかりではありません。

 「資格試験に合格したい」もすばらしいきっかけですし、「語源を知って語彙数が飛躍的に伸びた」というきっかけもあるでしょう。また「発音が上手になってやる気が湧いた」ということもよく耳にするところです。私自身、語源や発音の学習でずいぶん英語が楽しくなったことがあるように思います。

 そこで今年度の「ラジオ英会話」テキストでは、さまざまなトピックのコラム記事を大幅に増やしていただいています。楽しみながらご自身のきっかけをつかんでください。


□こちらはもうおなじみですね。池上彰さんの書評・読書ガイド。さまざまな本へのドアを開いてくれます。教養コラム。


□英語学習のヒント。灘中・高の川原先生です。英語学習を続ける勇気が湧くコラム。


□こちらは発音レッスンコラム。「英語耳」でおなじみの松澤先生です。


□HUMMERで有名なTOEICの鉄人・濱崎先生。熱いレッスンが受けられることかと。


□上白石さんと河野先生の往復翻訳書簡。一服の清涼剤ですね。


□楽しく語源が語れる角掛さん。とても期待しています。


□万が一、お暇ならこちらもどうぞ(^^)


 2020からのテキストは、読んで楽しめる総合英語学習誌です。今年から新たに始める方はもちろん、各レッスン内容が多少むずかしいと感じる方であっても、毎月どこかのページが役に立つ、どこかのコラムが楽しめる「すべての英語学習者のため」のテキストになっています。興味深く読んでいる間に本編のレッスンも楽しめるようになるはずです。毎月じっくりお楽しみください。

 ※「ラジオ英会話」テキストは、「年間購読」をお勧めしています。売り切れでご迷惑をおかけしたこともあるからです。お近くの本屋さんでお申し込みください。

レッスン概要・学習の手順

  ここで通常レッスンの学習の手順を説明しておきましょう。まずはダイアログと文法・イメージ解説。


DIALOGUE(ダイアログ)

□今まで同様比較的平易ではありながら、日常頻繁に使われるフレーズを豊富に含む会話例を取り上げています。

□「英作文」しながら会話することはできません。反射的に応答するためには「考えなくても」口から文が出せなければなりません。そのためこの講座ではダイアログの音読・暗唱をお勧めしています。一見遠回りに見えますが、十分な数の文が頭に入れば日常会話で不自由することのない高い英語力が手に入ります。この方法をすでに続けていらっしゃる学習者の方々からは数多くの喜びの声が届いています。みなさんもぜひ実践してみてください。

GRAMMAR AND VOCABULARY(文法と語彙を確認しましょう)

□音読・暗唱は誰もが行う学習方法ですが、やみくもに覚えるだけではあまり多くを得ることはできません。そのニュアンス・文の組み立てまでをしっかり理解した後に暗唱していただくために、ポイントとなる数カ所について、文法・語彙解説を行っています。

□文法用語は最小限に留めていますが、よりスムーズに理解するために巻頭の「文法ガイダンス」のご一読をお願いいたします。このページだけでも、英語という言葉の一般的な性質が理解できます。

□放送ではまた、日本語訳では使い方がよくわからない単語、表現などについて適宜解説を行なっています。この部分を聞いて暗唱していただくだけでも大きな英語力につながるはずです。


ABSORB THE FLOW(英語の流れを身につけましょう)

□レッスンの核はこのコーナーです。今年度の学習事項は会話の流れをつかむこと。詳細に基本接続詞の使い方(後の月では接続表現・論理マーカー・発言の組み立て)を解説します。クリス・ローザさんと共に発音練習をしながら、その流れをご自分のものとしてください。

CREATE THE FLOW(英語の流れを作り出しましょう)

□学習した会話の流れを問題形式で作り出していただくセクションです。比較的平易な英語文を作っていただきますが、日常会話は平易な文の繰り返し。このレベルができるようになれば、十分な実践力がついたと言えるでしょう。

番組中のクリスさん・秋乃ろーざさんの発言について

 こちらは前年度と共通の注意事項です。

 番組ではしばしば、私からの質問を共演のクリスさん・ろーざさんが答えるという場面があります。英語に関しては注意深くスピードを落としながら滑舌良くを心がけていますが、学習が進んでいない段階では、言っていることがよくわからないということがあるはずです。そんなときも、

 しっかりと耳を澄ます。それでもわからなければ気にしない。

 それが大切です。重要部分は私が日本語でまとめているため、番組の学習効果はいささかも減じません。またこの現象は、彼らの音や会話の呼吸に慣れ、英語力がつくにしたがって—おそらく数ヶ月で—ずいぶんと軽減されるはずです。「今の単語は何と言ったのか」にこだわるのはナンセンスです。全体としてどの程度わかるようになったのか、その伸びに着目してください。ラジオ講座を聴く大きな楽しみの一つになるはずです。何も考えずに一緒に笑ったり感心したりできる朝を必ず迎えることができます。それが本当の英語力ですよ。

「あきらめないこと」「毎日学ぶこと」が何より大切です。

 アメリカ人・イギリス人など母語話者が英語を駆使できるのは、彼らが毎日をその言葉と共に過ごしているからです。英語を外国語として学ぶ私たちの語学力が、一朝一夕に彼らと同等になることは—いかに効率的な学習方法を採ろうが—ありません。大切なのは「あきらめず続けること」です。言葉の学習は少しずつ少しずつ進みます。進歩が見えないことだってあります。でもそうした時期ですら学習は積み上がっているのです。ぜひあきらめない勇気をもって毎日「ラジオ英会話」をお続けください。

 また逆のことを申し上げるようですが、「あきらめる」ことが肝心なこともあります。英語は外国語です。どうしても苦手な言い回し、なかなかつかめない文の形だってあるでしょう。たとえば「関係代名詞が使えない」など—その場合には、こだわって苦しまずいったんあきらめてください。関係代名詞が使えなくても英会話はできます。他の表現を使えばいいだけのことですから。完璧を目指さずわかるところをしっかり身につける、それでいいのです。できない表現があるから英語をあきらめた—こんなことはあってはなりません。気軽に続けているうちに、「関係代名詞」があるときふと手に入ります。言葉の学習はそうした小さな喜びに満ち溢れているのです。

これから一年よろしくお願いします。いっしょにがんばりましょう。

 また一年、この廊下を行ったり来たりしながら収録します。日本人の英語をここから変えようと思って歩いている廊下です。

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